2020年

高品質なIR支援サービスを最良の人材によって提供することを目的に、2009年12月に当社を設立しました。(2010年8月版より)

約5年に一度のご挨拶も3回目となり、当社はおかげさまで2019年12月に創立10周年を迎えました。これも一重に当社をご愛顧いただいている多くのクライアントの皆様のおかげです。この場にて、心より御礼申し上げます。

さて、直近の5年に関しても世界・社会の激動はますます増幅している感があります。なかでも「個人の価値の実現性」というテーマが鮮明化してきたと感じています。10年前は「ニューノーマル」という言葉で語られ、5年前は「日本文化の多様化」と感じましたが、現在は一人ひとりの細やかで特殊な価値を、(ロングテール的に)存分に発揮できる時代に近づいてきていると思います。まさにかつてヒット曲の歌詞にあった「オンリーワン」の時代の幕開けと言えましょう。

しかしこのことは、企業にとってはとても厄介な問題です。今後の労務管理は、伝統的な日本企業のそれとは全く異なるものになると思います。「成果報酬」の安直な設定や、「働き方改革」に対するマニュアル的な対応では却って逆効果となるでしょう。優秀な人材に対するマネジメント力が企業価値に直結する(=労務管理のイノベーションが勝ち残りの条件となる)ことが、近いうちにハッキリとした形を見せると思います。

アニュアルレポートの世界では、飛躍的な進化を遂げた5年間でした。GRIスタンダード、SASB、英国FRC、日本の「価値協創ガイダンス」と様々な統合報告書の基準が発表され、それ以外にも2つのコードの改訂を筆頭に、無数の参照基準が出てきたなか、それらをカバーしつつ自社の独自性を最大限発揮するため、IR担当者によって莫大な創造力と作業時間が投入されました。

上記に加え、安倍政権による資本市場改革の努力の賜物として、発行体の透明性が著しく改善し、配当金が倍増するなど、日本の株式投資の正しさ・楽しさが向上しており、IR活動が以前よりもストレートに報われる環境へと、大きくストレッチしたと思います。

大きな話をすれば、『サピエンス全史』で語られたAIと人類の信じたくない進化の方向性、グレタ・トゥーンベリに代表される「今、ここにある環境壊滅シナリオ」への対応など、世界を覆う暗雲は厚みを増しています。一見利己的に見える国際情勢の動きや、仮想通貨、シェアリング経済などは、伝統的な自由主義・個人主義による単純競争とは少し趣を異にして「個人の価値のあり方」を統合する、次のパラダイムへ向けた過渡期の現象に見えます。TCFDやSDGsは、悲観を乗り越えて次の次元にシフトするための、極めて初期的な施策なのでしょう。

企業活動は上記全てを抱合し、良きビジネスのみを、正しく行う(かつ儲けて利益を配分せねばならない!)時代です。この現実を直視できなければ淘汰されますが、勝ち残った企業のビジネスプロセスも今後ますますドラスティックに刷新されていくでしょう。日本企業のMSCIスコアでは、「マネジメント力の高さ」ではなく「リスクの低さ」が評価されていることが気になります。

当社は引き続き一貫的なコンサル・制作業務を推進し、今後はさらに情報発信を積極化させることで、クライアントの皆さんの一層のハードワークに、最高のサービスをもって、少しでも多く貢献していければと思います。今後とも変わらぬご愛顧をよろしくお願いします。

2020年1月

クロスインサイト株式会社
代表取締役 鈴木 浩

 2015年

「高品質なIR支援サービスを最良の人材によって提供することを目的に、2009年12月に当社を設立しました。」と申し上げてから、5年の歳月が経過しました。その間、大震災あり、長い円高あり、急速なスマホの普及あり、アベノミクスあり、国際情勢の不安定化あり、外国人の爆買いあり、東京オリンピックへの期待ありと、我々を取り巻く環境はかつてないスピードで変化してきたように思います。

こうした流れの中で、日本の文化も同様に大きく変化したと思います。かつての同一民族・同一言語による島国的な単一文化が徐々に崩れ、世代、地域、職業などによって、マルチなカルチャーがそこかしこで見られるようになりました。それは未来を示唆するものです。高齢化社会の後に来る、20~30年後の日本の姿は、我々の知る従来の世界とは大きく異なると思います。

企業についても、目の前の変化に臆せず自社の強みをグローバルに発展させる企業と、過去のアイデンティティーを脱することができずに縮小均衡に陥る企業の明暗が、ますますハッキリしてくると思います。コーポレートガバナンス・コードの問いかけを一過性のものとして考えるのか、それを梃子に過去を払拭する経営体を構築していくのかによって、それぞれの企業の今後の20年は大きく変わるでしょう。その意味ではIIRCの提唱する統合報告は、むしろひとつの警鐘なのかもしれません。

変化の時代にあっても、「より良いコーポレートコミュニケーション」のお手伝いをする当社のサービスは不変であり、多くのクライアントの皆様のおかげで、荒波の環境のなかでも業容を広げることができました。今後とも最高品質のサービスをもって、皆様の期待に応えるとともに、新しい時代の創造にささやかなりとも貢献したいと考えています。


2015年10月

クロスインサイト株式会社
代表取締役 鈴木 浩

 2010年

高品質なIR支援サービスを最良の人材によって提供することを目的に、2009年12月に当社を設立しました。

リーマンショック後の世界経済は、新興国の台頭が先進国のゆるやかな立ち直りを牽引するかに見えましたが、その後も欧州の金融危機や新興国のバブル懸念など、状況が一層複雑さを増しています。企業においても、グローバル・スタンダードという「よすが」を失ったことによって、いわゆる「ガラパゴス化」が進行するのではないかという懸念があります。私たちはまた、国内における少子化や年金・健康保険などのさらに難しい問題を抱えて走らなければなりません。

私は、こうした状況下での日本企業のミッションは、国際化をより進め、世界における自社のプレゼンスを向上させ続けることにあると考えています。新しい世界のルールや競争相手に憶することなく、人材を募り、投資を行ってこそ、閉塞した日本の状況をも打破できるのではないでしょうか。

企業の国際化においては、IRがその第一歩となると私は考えます。特に、優れたアニュアルレポートは、海外で自社のプレゼンスを訴求し、 企業活動の最前線で戦う自社社員のモチベーションを向上させる最適なツールであると確信しています。

2010年には、経営者の報酬も一部個別開示が始まりました。国際会計基準の導入も近づいています。企業はより厳しいアカウンタビリティーを要求されますが、むしろこれはさらに積極的なIR活動を展開するチャンスです。自社の魅力をグローバルに訴求し、投資家からの強い支持をベースとした事業拡大につなげるためのお手伝いを、私たちにさせていただきたいと思います。


2010年8月

クロスインサイト株式会社
代表取締役 鈴木 浩